
Logicool G PRO X 2 LIGHTSPEEDは、FPS向けヘッドセットの定番として名前が挙がり続けているモデルだ。ただ、このヘッドセットの本質を「FPSで足音を聞くための機材」と捉えると、評価を見誤ることになる。
これは「1台で全部やる人」のためのヘッドセットだ。ゲームの定位、配信・ボイスチャットのマイク品質、そしてスマホとの同時接続まで、用途をまたいで1台で完結させる設計になっている。
逆に言えば、FPSの定位性能だけを最優先するなら、これを選ぶ理由は弱い。その観点も含めて、何ができて何ができないかを整理していく。
| 総合評価 | ★★★★☆(4.2 / 5.0) |
| 一言でいうと | ゲーム・配信・普段使いを1台に集約する汎用機 |
| 向いている人 | 配信やVCもする/スマホと併用したい/マイク品質を重視 |
| 向いていない人 | ANCが欲しい/FPSの定位だけを極めたい/予算2万円以下 |

結論|FPS特化機ではなく「用途をまたぐ機材」
同価格帯で比較されるRazer BlackShark V3 Proと並べると、性格の違いがはっきりする。
| G PRO X 2 LIGHTSPEED | BlackShark V3 Pro | |
|---|---|---|
| 設計思想 | 汎用(ゲーム+配信+日常) | FPS特化 |
| ANC | 非搭載 | ハイブリッドANC 4段階 |
| Bluetooth | 5.3対応 | 対応 |
| マイク | BLUE VO!CE 対応 | HyperClear フルバンド |
| 重量 | 345g | 367g |
| バッテリー | 最長50時間 | 最長70時間 |
| 実売価格 | 約24,800円 | 約40,780円 |
価格差は約16,000円。その差でBlackSharkが持っているのは、主にANCと20時間ぶんのバッテリーだ。逆にG PRO X 2はそれらを持たない代わりに、BLUE VO!CEというマイク側の強みと、22g軽い装着感を持っている。
つまり「静かな部屋でプレイしていて、配信やVCの音質を重視する人」ならG PRO X 2、「騒がしい環境でFPSに集中したい人」ならBlackSharkという切り分けになる。
G PRO X 2 LIGHTSPEEDのスペック一覧
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 製品名 | Logicool G PRO X 2 LIGHTSPEED(G-PHS-005WLBK) |
| ドライバー | グラフェン 50mm(PRO-G)/ネオジムマグネット |
| 周波数特性 | 20Hz〜20kHz |
| インピーダンス | 38Ω(パッシブ) |
| 感度 | 87.8dB SPL @ 1mW & 1cm |
| マイク | 6mm エレクトレットコンデンサー/カーディオイド(単一指向性) |
| マイク周波数特性 | 100Hz〜10kHz |
| 接続 | 2.4GHz LIGHTSPEED/Bluetooth 5.3/3.5mm アナログ |
| 通信範囲 | 最長30m |
| バッテリー | 最長50時間 |
| 重量 | 345g |
| サイズ | 高さ189 × 奥行95 mm |
| 素材 | フォーク:アルミニウム/ヘッドバンド:スチール |
| イヤーパッド | 低反発合成皮革(低反発クロス製も同梱) |
| 参考価格 | 約24,800円〜27,600円(税込) |
グラフェンドライバー「PRO-G」|定位はどこまで出るか

グラフェンは非常に軽く硬い素材で、振動板に使うと入力に対して素直に動き、余計な歪みが乗りにくい。前世代のPRO Xが中高音の明瞭さに寄っていたのに対し、G PRO X 2は低音の輪郭が出るようになり、音場が立体的になっている。
FPSでの実利という観点では、銃声のような大音量の中に埋もれた足音が、輪郭を保って残る点が大きい。歪みが少ないと、複数の音が同時に鳴っても互いを潰し合わないためだ。
ただし正直に書くと、定位性能そのものが競合を大きく引き離しているわけではない。この価格帯の製品はどれも十分に優秀で、ここだけを理由に選ぶほどの決定打にはならない。G PRO X 2の価値は、この音質を保ったまま他の用途もこなせることにある。
BLUE VO!CEマイク|配信までカバーできるか
ここがG PRO X 2の明確な差別化ポイントだ。
BLUE VO!CEは、Logicool傘下のマイクブランドBlueが開発したリアルタイム音声処理機能で、G HUB上でノイズ除去・コンプレッサー・ディエッサー・EQを個別に調整できる。プリセットも用意されているので、細かい知識がなくても「放送向け」の声に整えられる。
ヘッドセットマイクとしては明確に上位で、ボイスチャットはもちろん、配信の初期段階なら十分に通用する。
とはいえ期待値の調整は必要で、マイク自体は6mmのエレクトレットコンデンサー、周波数特性は100Hz〜10kHz。単体のコンデンサーマイクやダイナミックマイクと比べれば当然の差はある。「ヘッドセット1台で当面は済ませたい」という段階の人にとって最良の選択肢、という位置づけが正確だ。
3系統接続とBluetooth同時使用

地味だが、日常的な満足度に一番効くのがここだ。
| 2.4GHz LIGHTSPEED | PC・PS5でのメイン接続。通信範囲は最長30m |
| Bluetooth 5.3 | スマホ・タブレット用。LIGHTSPEEDと同時使用可能 |
| 3.5mm アナログ | Switch・バッテリー切れ時の保険 |
LIGHTSPEEDとBluetoothを同時に使えるのが実用上の肝で、ゲーム音を聞きながらスマホの通話やDiscordを受けられる。ヘッドセットを付け替える動作が消えるので、一度慣れると戻れない。

バッテリー50時間と装着感

最長50時間は、1日3時間プレイなら2週間以上もつ計算になる。週末にケーブルを挿しておけば、平日は充電を意識せずに済むレベルだ。BlackShark V3 Proの70時間には及ばないが、実用上の不満が出る水準ではない。

重量は345gで、前機種から25g軽くなっている。競合のBlackShark V3 Pro(367g)より22g軽く、このクラスのワイヤレス機としては軽い部類だ。イヤーカップが回転する構造で頭の形に沿うため、側圧が一点に集中しにくい。
正直に言う、G PRO X 2 LIGHTSPEEDの弱点3つ
弱点1:ANCが非搭載
2025年以降、この価格帯のヘッドセットにはANC搭載機が増えている。G PRO X 2はANCを持たないので、密閉型の物理的な遮音性だけが頼りになる。
静かな個室でプレイしているなら実害はない。ただし家族の生活音がある、エアコンが常時稼働している、道路に面している——こうした環境では、ANC搭載機との差がはっきり出る。低域のノイズが消えると足音のS/N比が上がるため、聴き取り性能そのものに影響するからだ。
弱点2:有線接続が3.5mmアナログのみ
USB-Cは充電専用で、USB経由のデジタル音声出力に対応していない。バッテリーが切れたときは3.5mmケーブルで繋ぐことになるが、アナログ接続ではG HUBによるEQやBLUE VO!CEの処理が使えなくなる。
「充電しながらフル機能で使う」という運用ができない点は、競合と比べて明確に弱い部分だ。
弱点3:標準の合成皮革パッドは蒸れる
低反発合成皮革のイヤーパッドは遮音性と質感に優れる反面、長時間や夏場は確実に蒸れる。密閉度が高いぶん、この傾向は強い。
G PRO X 2には低反発クロス製のイヤーパッドが標準で同梱されています。別売品を買う必要はありません。
合成皮革は遮音性が高く低音が締まる代わりに蒸れやすく、クロスは通気性が良い代わりに遮音性がやや落ちます。まずクロスに交換して1週間使ってみて、音の差が気になるようなら合皮に戻すのが確実です。夏と冬で使い分けている人もいます。開封時に付属品を捨ててしまわないよう注意してください。
【重要】Amazon限定モデルの方が安い
購入前に必ず確認してほしい点がある。G PRO X 2 LIGHTSPEEDには通常モデルとAmazon.co.jp限定モデルの2種類があり、価格が違う。
| 通常モデル | Amazon.co.jp限定モデル | |
|---|---|---|
| 型番 | G-PHS-005WLBK | G-PHS-005WLBKd |
| 価格 | 約27,600円 | 約24,800円 |
| 特典 | なし | 壁紙ダウンロード・ロゴステッカー |
本体の仕様は共通で、Amazon限定モデルの方が約2,700円安いうえに特典が付く。あえて通常モデルを選ぶ理由は見当たらない。
検索結果には両方が並ぶので、型番末尾に「d」が付いているかどうかを確認してから購入してください(価格は変動するため、購入時点で両方を見比べるのが確実です)。
G PRO X 2 LIGHTSPEEDに関するよくある質問
プレイ環境で決まります。エアコンや生活音がある環境ならANC搭載のBlackShark V3 Pro、静かな個室ならG PRO X 2で十分です。加えて配信やボイスチャットの音質を重視するならBLUE VO!CEを持つG PRO X 2が有利で、価格も約16,000円安く済みます。FPSの定位性能だけで比べると、両者に決定的な差はありません。
使えます。PS5はLIGHTSPEEDドングルをUSBポートに挿すだけで動作します。Switchは3.5mmアナログ接続、またはドッキング時にUSBポート経由での接続が可能です。ただしアナログ接続時はG HUBによるEQやBLUE VO!CEの処理が使えなくなる点に注意してください。
できます。2.4GHz LIGHTSPEEDとBluetooth 5.3は同時使用に対応しているので、PCのゲーム音を聞きながらスマホの通話やDiscordを受けられます。ヘッドセットを付け替える手間がなくなるので、実用上かなり便利な機能です。
充電しながらワイヤレス接続を継続することは可能ですが、USB経由での音声出力には対応していません。バッテリーが完全に切れた場合は3.5mmアナログ接続に切り替えることになり、その際はEQやBLUE VO!CEなどのソフトウェア処理が使えなくなります。
できます。標準の低反発合成皮革に加えて、低反発クロス製のイヤーパッドが最初から同梱されています。合皮は遮音性と低音、クロスは通気性に優れるので、季節や好みで使い分けてください。別途購入する必要はありません。
低反発素材のイヤーパッドがメガネのツルを吸収するので、基本的に問題ありません。ただし合成皮革パッドは密閉度が高いぶん側圧を感じやすいので、フレームが太いメガネの場合は同梱のクロスパッドに交換した方が快適です。
G PRO X 2 LIGHTSPEEDレビューまとめ
G PRO X 2 LIGHTSPEEDは、「ゲームも配信もVCも、1台で済ませたい」という要求に対して最もバランスの取れた回答だ。
グラフェンドライバーによる素直な音、BLUE VO!CEによるマイク品質、3系統接続とBluetooth同時使用、そして345gという軽さ。約24,800円という実売価格を考えると、完成度は非常に高い。
弱点も明確で、ANC非搭載とUSB有線非対応。この2点が必要なら、価格は上がるがBlackShark V3 Proを選ぶべきだ。
用途が「FPSだけ」なら、もっと安い選択肢もある。用途が広い人ほど、この1台の価値が上がる製品だと考えてほしい。
総合評価
尖った強みはないが、穴もない。マイクと接続性で日常の使い勝手が一段上がるタイプ。ANCが要らない環境なら、価格を含めて最も現実的な選択肢。
| 音質・定位 | ★★★★☆ |
| マイク品質 | ★★★★★ |
| 接続性 | ★★★★★ |
| 装着感 | ★★★★☆ |
| バッテリー | ★★★★☆ |
| コスパ | ★★★★★ |
| 総合 | ★★★★☆(4.2 / 5.0) |
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